総平均法と移動平均法の違い(簿価)

このページでは、「総平均法」と「移動平均法」の違いについて説明します。

はじめに・・・
国税庁の指針より、仮想通貨の損益計算については取引所単位での損益計算は認められていないと理解しており、クリプタクトではすべての取引所や取引所外の取引をまとめて損益計算を行っています。
■取引所毎の損益計算及び表示について
■【基礎知識】口座間の送金(入出金)履歴

 

目次

  1. 簿価の算出方法
  2. 計算例
  3. 計算結果の比較

 

1. 簿価の算出方法

簿価の算出方法は総平均法移動平均法の2通りあります。

総平均法:前年度末の残高と簿価+当年度での取得履歴を加重平均して簿価を計算

移動平均法:コインを取得する度に、簿価を計算

実現損益は (売却価格-簿価)×数量 で算出されるため、損益計算において簿価は非常に重要な要素です。

日本在住の場合、原則として個人は総平均法、法人は移動平均法での計算となります。(クリプタクトの初期設定では総平均法が設定されています。)2019年4月の法改正により、移動平均法を選択する場合、担当の税務署への届け出が必要となるのでご注意ください。■帳簿設定の変更方法

 

2. 計算例

簡単な(手数料などは考慮しない)例を使って「総平均法」「移動平均法」の2通りの簿価の計算方法について紹介します。

▼2022年度内に、ビットコイン(BTC)の売買を円建で以下順番で取引したとします。
①500円で2BTC購入
②1,100円で1BTC購入
③1,200円で1BTC売却
④1,000円で1BTC購入

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期間内の購入取引である①+②+④の合計金額を4枚で割った価格が簿価となる。
(①500円*2枚+②1,100円*1枚+④1,000円*1枚)÷4枚=簿価775円

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①500円のBTC2枚購入したので、簿価500円
②1,100円のBTCを1枚購入したので、(①500円*2枚+②1100円*1枚)÷3枚=簿価700円
③売却時は変動なし
④1,000円のBTC1枚購入したので、(②700円*2枚+④1000円*1枚)÷3枚=簿価800円

 

3. 計算結果の比較

2‐1.で紹介した通り、実現損益は (売却価格-簿価)×数量で算出されます。

よって、上記の例のように「総平均法」か「移動平均法」どちらの算出方法を選択するかによって年度ごとの実現損益も変わります。どちらの算出方法がお得かどうかは、算出方法を原則として3年間変更できないことや、税率の変動などがあるため、現時点では誰にも分かりません。 ただし、保有しているコインをすべて売却した時には、全年度の合算の損益は、いずれの算出方法でも一致します。

 

▼例
①500円で2BTC購入
②1,100円で1BTC購入
③1,200円で1BTC売却
④1,000円で1BTC購入
⑤2023/1/1に、1,350円/枚で3BTC売却 ※保有枚数0になった。

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このように、年度ごとの損益は異なりますが、すべてのコインを売却した時には、合算の損益結果は一致します。(※税率の変動などは考慮していません。)

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